約20年の空白期間を経て烏帽子大氷柱・別名「幻の大氷柱」再登されました。これは、登攀したJCCの嶌田聡さんによる登攀記録です。また、一週間後に東京YCCの2名パーティにより第三登が記録されています。

烏帽子奥壁大氷柱ルート

写真は昨年一番☆が撮影したものである。


登攀記録

2002年2月9日、10日
メンバー:嶌田聡(40歳)、石川友康(33歳)
ルート:谷川岳一ノ倉 烏帽子沢奥壁大氷柱ルート

2月9日

天気は雪でチリ雪崩が頻繁におきている
3:45 登山指導センタ出発
5:00 一ノ倉沢出合
雪は締まっており、足首が埋まる程度であった。ところによっては膝までぐらいのラッセルもあったが、アプローチは思ったより楽であった。しかも、中央カンテと南稜に取り付く2パーティーが先行しており、トレースがあった。テールリッジからは雪が深くなり、部分的に腰ぐらいのラッセルになったが、ここもトレースを使わせて頂く。
(取り付きまでのラッセル風景)

8:40 変形チムニー取り付き
8;50 登攀開始
1P:厚さ10〜20cmぐらいの氷で快適であった。傾斜のゆるくなったところの終了点でビレイ。
35m。10分間間隔程度で雪が落ちてくるので苦労する。
2P:氷はほとんどないのでミックス壁を登る。10mほど左上して、カンテを左に回りこむ。草付きとクラストした雪にピックを打ち込み登る。45m。

(3P目、変形チムニー横の薄い氷壁を登る)
3P:11時に登り始める。薄い氷で下までは繋がっていない。右側のルンゼを5mほど詰めてから壁に取り付き、左にトラバースすることで氷に入る。ここからは傾斜が強く氷の厚さは数cmから10cmぐらいであったが、5mほどの垂壁を登ると傾斜が落ちるのでノープロテクションで越えられた。
傾斜が落ちたところを3mほど登るとまた傾斜がつよくなる。氷も薄い。30m登ったところでアイススクリューとハーケンで支点をつくる。
4P:中央にりっぱな氷柱があったがアックスを打ち込むと、どんどん壊れていった。左側に残置ボルト2箇所、残置ハーケン1箇所が2mおきにあったのでこれをランニングビレイにして左側から登る。10m登ると中央の氷柱の上に出た。傾斜が落ちたところを5mのばすと、さらに10mの垂壁。ここは、厚さ5cm〜15cmくらいの氷であった。日没直前であったので、ボルトを打ち、4P目の取り付きに戻る。
ボルトの穴を空けているときにハンマーが故障し、これ以上空けられないので中途半間な状態で打ってしまった。3P目の取り付きでビバークすることも考えたが、チリ雪崩が頻繁に起きていたので、雪崩の通路を避けて4P目の取り付きでビバークすることにする。斜面の氷をカッティングし、各自一人が座れるスペースを何とか確保する。

2月10日

天気は小雪で、相変わらずチリ雪崩が起きている。
7:30にツエルトから出て準備する。雪に埋まった道具を掘り起こし、ロープなどを整理していたため、登攀開始したのは8:30であった。

(4P目核心部の氷縛を見上げる。)
4P:昨日のところまでユマーリングし、薄い氷の垂壁を登る。40m登ったところで残置ボルトを3つ発見し終了点とする。セカンドはユマーリングで荷揚げとした。


(5P目を見上げる。)
5P:ここから上部まで氷の壁がきれいにつながっていることが確認できた。右側は数cm程度の薄い氷であったが、左側は部分的に20cmくらいあり、ランニングビレイがとれそうである。さらに、気温が低くピックがよく効くので登ることは問題なかった。透明の固い氷があるのだが、どのアイススクリューも入らない。歯をしっかり砥いだスクリューでもだめである。辛抱強く、いろんなところをトライしてみると、スクリューがしっかり入るところがあり根気よく探しながら登る。30mほど登ったところでスクリューの良く効く氷があったので、ここで終了点をつくるセカンドはユマーリングで荷揚げをする。
(6P目の、右に同志会直上ルートのチムニーが見える。)
6P:ほぼ直上するように氷を登る。氷が締まっており、ピックが良く効く。登り易い氷であった。40m登ったところで傾斜が落ち、さらに10mほど登ると潅木があり、ビレイをとる。18時15分登攀終了。セカンドはユマーリングと部分的に氷を登った。下降:19時に下降開始する。6P目は潅木を支点にする。5P目はアイススクリュー2本残置した。あとは、いずれも残置ボルトを使用する。登ったピッチ通り6回の懸垂下降で、取り付きには21時30分に戻る。2日間の降雪で結構ラッセルがあり、一ノ倉沢出合には、0時30分、駐車場には2時の到着であった。
以上です。

日本クライマースクラブ 嶌田 聡

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